- 2026年4月1日
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日本のセメント産業は「熱バッテリー」を作れるのか──トクヤマの可能性を読む
いつもはBBCまたはWSJのTech系の記事でいいと感じたものを選択し、自分の考えを踏まえて解説して……

本記事は、The Wall Street Journal(2026年4月)“Tariffs Strained U.S. Aluminum Supplies. Now the Iran War Is Making It Worse.” を参考にしつつ、私自身の視点で再構成したものです。
🔗Tariffs Strained U.S. Aluminum Supplies. Now the Iran War Is Making It Worse.
関税によって米国のアルミニウム供給は逼迫したが、イラン戦争によって状況はさらに悪化している。
米国のアルミ市場が再び揺れている。ここ1年、米国は輸入アルミへの関税引き上げ(10% → 25% → 50%)と世界的な価格上昇により、すでにコスト圧力が高まっていた。そこにイラン戦争による中東の供給混乱が重なり、状況はさらに悪化している。
■中東の供給が急減
米国が輸入するアルミの約2割はペルシャ湾岸諸国から来る。しかし2月末の戦闘開始以降、湾岸地域からの出荷は大幅に減少。さらに先週、イランのドローン・ミサイル攻撃がアブダビとバーレーンの大手アルミ工場を直撃し、供給不安が一段と強まった。
■アルミ価格は1年で83%上昇
米国のアルミ「実質価格」は現在 1トンあたり6,100ドル(前年比 +83%)。 このうち 2,520ドルが関税や追加コストで、欧州の4,160ドルと比べても割高だ。
その結果、
■企業現場の悲鳴
アルミ製トレーラーを製造する Reitnouer Trailers は、1台あたり約2トンのアルミを使用。 CEO は「値上げしても追いつかない」と語る。また、住宅向け大型窓を製造する Awake Window & Door では、原材料コストが 1年で70%上昇。 「関税で海外製品に優位性が出ると思ったが、結局どちらも値上がりしただけ」とCEOは話す。
■US 国内生産は増えず、在庫は2週間分に
関税の目的は米国内のアルミ精錬を増やすことだったが、在庫は 通常4〜6週間分 → 現在は約2週間分 にまで低下している。その原因は下記のとおりである。
■カナダ産アルミも不安定
米国のアルミ消費の約70%を占めるカナダ産も、昨夏は関税負担を価格に転嫁できず出荷が減少。 一部は欧州へ流れ、今後は中東の供給を失った顧客が欧州市場に殺到する可能性もある。
■一方で恩恵を受ける企業も
アルミ価格の高騰は、アルコアなどの生産企業には追い風。 アルコアのアルミ部門の利益は前年の約3倍に増加し、株価も年初から35%上昇している。
関税負担が増えようが資源価格が高騰しようが主要資源の一次製品を扱っているメーカーにはほとんど影響がでないという構図。持てる者の強みであり秩序やルールは強者が決定するという現実がある。
日本のように法の支配とか安っぽい正義論を振りかざすだけで、世界が恐れる軍事力も経済力もない国にどの国もひれ伏すことはない。
USGS の 2026 年版統計によると、2025 年の米国アルミ生産量(推計値)は以下の通りです。 (単位:千トン)
| 区分 | 2025年(推計) |
|---|---|
| 一次アルミ生産(Primary) | 660千トン |
| 二次アルミ(スクラップ由来) | 3,600千トン(新スクラップ 56%、旧スクラップ 44%) |
同じく USGS によると、2025 年の米国アルミ輸入量(推計値)は以下の通りです。
| 区分 | 2025年(推計) |
|---|---|
| 粗アルミ・半製品の輸入量 | 4,400千トン |
| スクラップ輸入量 | 890千トン |
| 合計(粗材+スクラップ) | 5,290千トン |
→ 主因は “世界的なアルミ価格上昇” と “上流工程(ボーキサイト・アルミナ・一次アルミ)の国際事業” によるもの。 アルコアは米国企業だが、製造拠点の中心は米国外(特にカナダ・オーストラリア・ブラジル)であり、米国内の一次アルミ生産はごく小さい。
出典:Tickergate の 2025 年時点の売上構成データ
■ 製品別売上比率(2024年)
| セグメント | 売上 | 構成比 |
|---|---|---|
| Aluminum(一次アルミ) | 72.5億ドル | 51.13% |
| Alumina(アルミナ) | 69.2億ドル | 48.87% |
| Bauxite(ボーキサイト) | 非開示(前年は4.66億ドル) | 少量 |
| Energy | 1.18億ドル | ごく小さい |
アルコアは “上流工程(鉱山〜精錬〜一次アルミ)に特化した企業” → 2016年の分社化で、下流の加工部門(Arconic)は切り離されている。
■地域別売上(最新データ)
Tickergate によると、主要販売地域は「UNITED STATES」と記載されているが、これは「販売先」であり「製造地」ではない点に注意。
アルコアの製造拠点は以下の通り(公開情報より)
つまり、売上の多くは “米国向け販売” だが、製造は主に米国外。
① 世界的なアルミ価格の高騰
→ アルコアは “上流の一次アルミ生産者” のため、価格上昇がそのまま利益に直結。
② アルミナ事業の完全統合
→ アルミナ価格上昇の恩恵もフルに受けられる構造へ。
③ 米国関税の影響
結果として 米国市場での販売マージンが改善
米国のアルミ価格は関税で世界より高い
アルコアはカナダ生産が中心のため、関税負担を価格に転嫁しやすい
| 国 | 主な拠点 | 生産能力(一次アルミ・アルミナ合計) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| オーストラリア | Kwinana(精製停止)、Pinjarra、Wagerup | 約 8.5 Mt/年(アルミナ) | 世界最大級のアルミナ精製能力。Kwinana閉鎖後もPinjarra・Wagerupが稼働。 |
| ブラジル | Alumar(São Luís)、Juruti鉱山 | 約 3.5 Mt/年(アルミナ) | ボーキサイト採掘+精製一貫体制。水力発電を活用。 |
| カナダ | Baie-Comeau、Bécancour、Deschambault | 約 1.3 Mt/年(一次アルミ) | 水力発電による低炭素アルミ。米国向け輸出の中心。 |
| スペイン | San Ciprián | 約 1.0 Mt/年(アルミナ+一次アルミ) | 欧州拠点。2025年に操業安定化プログラム進行中。 |
| ノルウェー | Lista、Mosjøen | 約 0.5 Mt/年(一次アルミ) | 水力発電利用。2024年に生産記録更新。 |
| 米国 | Warrick、Massena、Intalco(休止) | 約 0.6 Mt/年(一次アルミ) | 関税影響下でも生産維持。Warrickは板材向け。 |
| サウジアラビア | Ma’aden JV(売却予定) | 約 0.74 Mt/年(アルミナ+一次アルミ) | 共同事業。2025年に25.1%持分売却発表。 |
| アイスランド | Fjardaál | 約 0.35 Mt/年(一次アルミ) | 水力発電利用。高効率精錬。 |
| その他(ギニア・ジャマイカなど) | 鉱山・供給拠点 | 約 25 Mt/年(ボーキサイト) | ギニア・ブラジルで採掘。中国・欧州へ供給。 |
| セグメント | 主な国 | 年間生産能力 | 備考 |
|---|---|---|---|
| Bauxite(ボーキサイト) | ギニア・ブラジル・オーストラリア | 約 45 Mt/年 | ギニアが最大。輸出・自社精製用。 |
| Alumina(アルミナ) | オーストラリア・ブラジル・スペイン | 約 13 Mt/年 | 世界シェア約15%。 |
| Aluminum(一次アルミ) | カナダ・米国・ノルウェー・スペイン | 約 2.8 Mt/年 | 水力発電比率が高く、低炭素製品を展開。 |
(参考)材料別画像

(参考)材料別製品化詳細
アルミナ(Alumina:酸化アルミニウム)から生まれる製品
アルミナは「金属になる前の素材」でありながら、電子・化学・耐熱分野で独立した高機能材料として使われます。
| 分野 | 製品例 | 特徴・用途 |
|---|---|---|
| セラミックス・電子材料 | 半導体基板、絶縁体、ICパッケージ | 高い耐熱性・絶縁性。電子部品の基盤素材。 |
| 研磨材 | サンドペーパー、研磨パッド | 非常に硬く、金属・ガラス研磨に使用。 |
| 耐火材 | 炉の内張り、鋳造用耐火レンガ | 2000℃近い高温に耐える。製鉄・ガラス炉に必須。 |
| 触媒担体 | 自動車排ガス触媒、化学反応触媒 | 表面積が大きく、化学反応を促進。 |
| 医療・化粧品 | 歯磨き粉、皮膚研磨剤 | 微粒子の硬度を利用。人体に安全な酸化物。 |
一次アルミ(Primary Aluminum:電解精錬された金属アルミ)から生まれる製品
アルミナ(酸化アルミニウム:Al₂O₃)を電解して得られる金属が「一次アルミ(Primary Aluminum)」です。そして、一次アルミは「工業製品の素材」として、軽量・耐食・導電性・加工性のバランスが非常に良い金属。世界中の製造業の基盤を支えています。
| 分野 | 製品例 | 特徴・用途 |
|---|---|---|
| 輸送機器 | 自動車ボディ、航空機部品、鉄道車両 | 軽量・高強度。燃費改善・CO₂削減に貢献。 |
| 建築・インフラ | サッシ、外壁パネル、橋梁部材 | 耐食性・加工性が高く、長寿命。 |
| 包装材 | 飲料缶、食品包装、医薬品パッケージ | 薄くても遮光・防湿性が高い。 |
| 電気・電子 | ケーブル、ヒートシンク、スマホ筐体 | 導電性・放熱性に優れる。 |
| 日用品 | 鍋、フライパン、家具、照明器具 | 軽くて美しい金属光沢。加工が容易。 |
| 地域 | 価格の基準 | 上乗せ | 主な要因 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 米国(USA) | LME価格 | Midwest Premium(MWP) | 関税(25〜50%)、物流、在庫、保険 | 世界で最も高いプレミアム。関税が価格を押し上げる構造。 |
| EU(欧州) | LME価格 | European Duty-Paid Premium | 輸入関税、港湾費用、在庫、物流 | 輸入依存度が高く、プレミアムは200〜300 USD/トン。 |
| 中国(CHN) | SHFE価格(国内先物) + 為替調整 | 国内需給プレミアム | 電力コスト、輸入関税、国内在庫 | LMEと連動しつつ、国内需給で乖離。価格はやや高め。 |
| 日本(JPN) | LME価格 | Japan Port Premium(JPP) | 港湾費用、保管、物流、四半期交渉 | 四半期ごとに商社と交渉。100〜120 USD/トンが目安。 |
| 中東(UAE・バーレーン) | LME価格 | 地域プレミアム(小さい) | ガス火力の安い電力、輸出港コスト | 自給+輸出型。プレミアムは50〜70 USD/トンと低い。 |
これは World Mining Data 2025(2023年実績) に基づくランキングです。
| ランキング | 国 | 産出量(Mt=百万トン) |
|---|---|---|
| 1位 | ギニア | 123.07 Mt |
| 2位 | オーストラリア | 99.06 Mt |
| 3位 | 中国 | 65.52 Mt |
| 4位 | ブラジル | 32.03 Mt |
| 5位 | インド | 23.36 Mt |
| 6位 | インドネシア | 9.89 Mt |
| 7位 | ロシア | 6.87 Mt |
| 8位 | ジャマイカ | 5.99 Mt |
| 9位 | サウジアラビア | 5.90 Mt |
| 10位 | カザフスタン | 4.56 Mt |
1位:中国(圧倒的)
2位:インド
3位:ロシア
IAI の最新統計によると、世界平均の一次アルミ精錬に必要な電力量は:
約 14,000kWh/トン
■ 一般家庭の電力使用量との比較
日本の平均家庭の年間使用量は約 4,000〜5,000 kWh。
アルミ1トンを作る電力 = 一般家庭の約3年分の電気
■ 電気自動車(EV)の走行距離に換算
EVは 1kWh で約 6〜7km 走行。
14,000kWh×6.5km≒約 9万km
アルミ1トン = EVが地球2周以上走る電力
■ データセンターのサーバー稼働時間
サーバー1台(300W)なら:14,000kWh÷0.3kW=約 46,000 時間(5.2年)
アルミ1トン = サーバー1台を5年以上動かせる電力
| 地域 | 電力使用量(kWh/トン) |
|---|---|
| 中国 | 13,262 |
| 世界平均 | 13,990 |
| アフリカ | 14,208 |
| GCC(湾岸諸国) | 14,618 |
| アジア(中国除く) | 14,677 |
| 北米 | 15,016 |
| 欧州 | 15,619 |
| 南米 | 15,855 |
| オセアニア | 16,302 |
アルミ精錬は、 アルミナ(Al₂O₃)を電気分解してアルミを取り出す「電解プロセス」であり、 世界の金属製造の中でも最も電力集約的な工程のひとつ。
電力コストがアルミ価格の30〜40%を占めることもある
| ランキング | 国 | 電気代(USD/kWh) |
|---|---|---|
| 1位 | イラン | $0.00 |
| 2位 | イラク | $0.01 |
| 3位 | アンゴラ | $0.01 |
| 4位 | ブータン | $0.01 |
| 5位 | シリア | $0.01 |
※アルミ精錬に必要なのは「安い電気」ではなく「止まらない電気」という大前提がある。
ギニアを基準に検証すると次のとおりである。
| 国 | 電力 | 政治安定 | 資本 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 中国 | 安い・安定 | 高 | 巨大 | 世界1位(43Mt) |
| カナダ | 水力・安定 | 高 | 高 | 低炭素アルミの中心 |
| UAE | 安い・安定 | 高 | 高 | 世界5位 |
| ノルウェー | 水力・安定 | 高 | 高 | 高効率 |
| オーストラリア | 安定 | 高 | 高 | 中規模 |
電力単価・電力の安定性・設備の新しさ・原料アクセスから見た「構造的にコストが低い国」を整理すると、だいたいこういう世界観になります。
| おおよその順位 | 国・地域 | 安く作れる理由の中核 |
|---|---|---|
| 1位 | 中国 | 安い電力+巨大クラスター+フル稼働の設備 |
| 2位 | UAE | 安いガス火力+最新鋭 smelter+輸出特化 |
| 3位 | バーレーン | 世界最大級単一 smelter+高稼働率 |
| 4位 | カナダ | 安い水力発電+低炭素プレミアムも取れる |
| 5位 | ノルウェー | 水力×高効率設備=「グリーンアルミ」ポジション |
比較するまでもまくアルミの原材料のボーキサイト産出量は世界3位で資源もあり、世界最大のsmelterがありアルミの最大消費国でもあります。電力の安い地域に集中させているのが分かります。電力価格は国家で統制していると思うので、日本との単純比較には意味はないですが世界制覇に向けた明確な戦略を感じます。

戦略なき国家と言われてきた日本では到底太刀打ちできません。高市政権では明確に重点項目を設定して強い日本を目指していることは素晴らしいことです。政治家の国会答弁を見ていても、自民党の足を引っ張ることか弱者救済に税金を使うことばかりで国がますます貧乏になっていきます。
一時的に弱者になった人を助けるセーフティネットは必要ですが、永続して弱者から這い上がれない人を税金で救済していたら他国に負けます。お金を生むものに税金を再投資してより強大な国家にならなければならないと思います。
為替について円安傾向で物価高、これを是正する最良の特効薬は貿易収支を黒字化させればいいだけです。経常収支は日本は黒字になる構造が今はあるので必ず円高へ修正されます。為替は結局のところ国力に追随するからです。
