有線ヘッドホン復活の理由

本記事は、BBC Future(2026年3月10日)の “Wired headphones are better than Bluetooth” を参考にしつつ、私自身の視点で再構成したものです。
🔗 Wired headphones are better than Bluetooth(BBC Future)
有線ヘッドホンの売上が急増
2025年後半から売上が急上昇し、2026年初頭には前年より20%増。
5年間下がり続けていた市場が一気に反転。
TWS(トゥルー・ワイヤレス・ステレオ)市場が生まれた背景
そもそもいつからネットワークオーディオやワイヤレスイヤホンが流行りだしたのか。この背景を理解していないと次へと進まない。それは全てがスマホメーカー側の都合から始まっています。
そしてやはりここでもAPPLEが関わっています。残念ながらこの頃にはスティーブ・ジョブズはお亡くなりになっていますので、現CEOのティム・クックの決断が新たな市場を創造したことになります。
- 薄型化・軽量化のための内部スペース確保(イヤホンジャックは物理的に大きく、基板設計の自由度を奪う)
- 防水性能の向上(3.5mm端子は水の侵入口になりやすく、防水設計の障害になる)
- バッテリー大型化のためのスペース確保(5G対応や高性能化でバッテリー容量が必要になり、内部スペースが逼迫した)
- ワイヤレスイヤホン市場を育てたいメーカーの戦略(AppleはAirPods、Android陣営はGalaxy Budsなど、自社エコシステム拡大が大きな動機)
- iPhone 7 がイヤホンジャック廃止。
- スマホメーカーが一斉に追随。
- ワイヤレス市場はまだ小規模で、TWS(完全ワイヤレス)は黎明期。
- AirPods が世界的ヒット。
- 市場が一気に立ち上がり、ワイヤレス化の流れが加速。
- Android 各社も TWS を投入。
- 市場は前年から大幅成長し、“ワイヤレスが当たり前”の空気が生まれる。
- TWS がイヤホン市場の中心カテゴリに。
- スマホのジャック廃止が広がり、ワイヤレス需要がさらに増加。
- コロナ禍で在宅需要が急増。
- オンライン会議・動画視聴の増加でワイヤレスイヤホンが生活必需品化。
- 市場は成熟フェーズに入りつつも高価格帯が伸びる。
- ANC(ノイズキャンセリング)搭載モデルが主流に。
- 円安・半導体不足で価格は上昇したが、需要は堅調。
- “スマホで聴く”が完全に標準化。
- AirPods Pro 2、Galaxy Buds、Sony WFシリーズなどが牽引。
- 市場規模は数百億ドル規模に到達。
- Grand View Research のレポートによれば、ワイヤレスイヤホンの世界市場規模は 28.6億ドル。
- 2016年からの8年間で、ワイヤレスイヤホン市場は“巨大産業”へ成長。
背景にあるのは「Bluetooth疲れ」
- 接続不良、ペアリングの手間、遅延、相性問題など、Bluetooth特有のストレスが積み重なっている。
- 俳優のゾーイ・クラヴィッツも「Bluetoothは大事な瞬間を台無しにする」と発言。
- 「ワイヤレスは便利なはずなのに、実際は手間が多い」という共通認識が広がっている。
音質面では依然として有線が優位
- 同じ価格帯なら、有線のほうが高音質になりやすい。
- Bluetoothは接続状況やコーデックの制限で性能を発揮できないことが多い。
- 有線は「挿せば確実に最高の状態で鳴る」という安心感がある。
文化・ファッションとしての“有線回帰”
- Instagram では「Wired It Girls」というアカウントが人気。
- アリアナ・グランデやチャーリーXCXなど、セレブが有線を使う姿が話題に。
- 一部では「有線は階級シンボル」という冗談めいた言説も登場。
“反テクノロジー”の空気感
- AIや急速なデジタル化への不安から、「アナログ寄りの安心感」を求める人が増加。
- カセット、DVD、ブラウン管テレビ、タイプライターなど、レトロ技術の復活とも同じ流れ。
有線の実用面でのメリット
- バッテリー切れの心配がない。
- 小型ワイヤレスのように紛失しにくい(…はずだが、記者は落とした)。
- 物理的にデバイスとつながることで「聴くことに集中できる」という感覚も。
接続方法の変化と“ドングル問題”
- 3.5mmジャックが消えたため、USB-C/Lightning直結の有線モデルが増加。
- あるいはアダプタ(ドングル)を使う必要があるが、抵抗感を持つ人も多い。
高級Bluetoothも進化しているが…
- 専門店では高音質Bluetoothも試せるが、依然として有線のほうが選択肢が多く、音質も安定。
- 「Bluetoothは便利、有線は確実」という棲み分けが続いている。
私はこれまでワイヤレスイヤホンをしたことはありません。ケーブルによって音質が変わることを知っていますので、ワイヤレスではつまらないからです。そしてイヤホンよりもヘッドフォンの方が音質がいいことも。
ネットワークオーディオもAMAZON MISICで試してみましたが、好きな音楽探しには役立つかもしれませんがじっくり聴きたくなる音ではなかったです。レコードからCDそしてネットワークオーディオと音楽の聴き方の変遷を体験しているので、技術革新が生活スタイルを変えるものだと感じていました。
レコードからCDへ(CDはなぜ生まれたのか)
CDが開発された理由は、「アナログ媒体の限界を超えるための“高音質・長寿命・高耐久の新しい音楽メディア”を作る必要があったから」です。
その背景には、1970年代の技術課題、音楽産業のニーズ、そして光学技術の進歩が重なっています。以下、歴史的経緯・技術的理由・産業構造の変化という3つの軸で整理します。
そしてこのCDの開発が、その後のDAPやネットワークオーディオにつながるデジタル化の起点となったからです。
CDが必要とされた歴史的背景
1970年代までの主流はレコードとカセットでしたが、どちらも明確な弱点を抱えていました。
レコード:摩耗・ノイズ・針飛び・保存性の低さ
- レコード:摩耗・ノイズ・針飛び・保存性の低さ
- カセット:音質が悪い・テープ伸び・巻き戻しの手間
- どちらもアナログゆえに劣化が避けられない
音楽産業は「劣化しない高音質メディア」を求めており、ここに光学技術の進歩が重なって、CDの構想が現実味を帯びていきます。
技術的な理由:光学ディスクとデジタル化の必然
CDは Philips と Sony が共同開発し、1980年に「Red Book」規格を策定しました。CDはレーザーでピットを読み取るため、摩耗しない・ノイズが入らない・音質が安定するという革命的な特徴を持ちます。
- アナログの限界を超える高音質(44.1kHz / 16bit)
- 物理的に摩耗しない光学読み取り
- 長時間(74分)を1枚に収める
- 家庭用として扱いやすいサイズ(直径120mm)
音楽産業側の理由:新しい市場を作りたかった
1980年代の音楽業界は、「レコードとカセットの次の収益源」を探していました。
CDはその答えとして、“ビジネス的メリット”が非常に大きかった。
- 買い替え需要を生む(同じアルバムをCDで買い直す)
- 高価格で販売できる(当時は3,500円が相場でLPは2,800円)
- 海賊版対策としてデジタルが有利
のため、1982年の発売直後からレコード会社が一斉にCDへ移行し、1991年にはアメリカでレコードとカセットを抜いて主流フォーマットになります。
CDがもたらした構造変化
CDは単なる音楽メディアではなく、デジタル時代の入口でした。CDは「音楽のために作られた」だけでなく、デジタル情報社会の基盤を作った技術でもあります。
- 音楽のデジタル化
- データ保存媒体としてのCD-ROM
- PC文化の拡大
- 後のDVD・Blu-rayへの発展